第88回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表に選出されるなど、多数の映画賞を席巻した『百円の恋』から6年。監督・武正晴、脚本・足立紳をはじめとする製作陣が、再びボクシングを題材に不屈のルーザーたちへ捧げる挽歌を作り上げた。
主人公・末永晃を演じるのは、俳優のみならずダンサーとしても国内外での活躍の場を広げる森山未來。持ち前の身体能力の高さに加え、プロ顔負けのストイックなトレーニングを経て迫真のボクシングシーンに挑んだ。若きボクサー・大村龍太に扮したのは、北村匠海。ダークな雰囲気を滲ませ、過去に秘密をもつ龍太の陰りを表現。徹底した筋力トレーニングを行い、スピードを武器にした躍動的なボクサーを演じている。芸人ボクサー・宮木瞬を演じるのは、勝地涼。芸人くずれのチャラさを表現する一方で、“親の七光り”という汚名返上を誓い、ボクシングに打ち込む覚悟をメリハリの効いたギャップで魅せる。このほか、水川あさみ、瀧内公美、冨手麻妙、萩原みのり、熊谷真実ら実力派女優陣が、リングへと向かう男たちの物語に彩を添え、風間杜夫、柄本明らベテラン勢が、奥行きのある実在感で作品を支える。
そして本作で、ルーザーたちのドラマをより一層盛り上げる主題歌「Flowers」を書き下ろしたのは、人気シンガーソングライターの石崎ひゅーい。登場人物の心情を代弁するかのように紡がれる歌詞と石崎の歌声は、男たちが繰り広げた激闘の余情となって心に突き刺さる。
“かませ犬”の牙は思いのほか鋭く荒々しい。咬みついたら二度と離れない。映画『アンダードッグ』が、ついに檻から放たれる!